SX──“選ばれる企業”であり続けるために
SXとは何か?DXとの違いから考える
SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)という言葉を耳にする機会はあるでしょうか?経済産業省によるとSXは「社会と企業のサステナビリティ(持続可能性)を同期化すること」と定義されています。
これは、社会課題の解決を通じて、企業の“稼ぐ力”を持続させる経営変革のこと。皆さんに馴染み深いDX(デジタル・トランスフォーメーション)が「デジタル技術を活用した業務やビジネスモデルの変革」である一方、SXは「社会の変化に対応しながら、企業の持続性を高める変革」です。ちなみにGX(グリーン・トランスフォーメーション)という言葉もあり、これは「環境課題への取組みと経済成長との両立を図る変革」を表しています。
世界中の全ての人が持続可能な社会を望んでいます。そのため、持続可能を望まない企業は存在しません。全ての企業が持続可能性を高めるために「何を変え、どう行動していくのか?」を考えるべき時期に来ています。
信頼を支える業務こそ、SXの土台
価格・納期・品質──企業が社会から選ばれる条件は、日々の業務の中にこそ存在しています。
SXは、こうした業務プロセスやルールを「社会の変化に耐えられるか」「今後も続けていけるのか」という視点で見直すこと。
SXに取り組まなければ!と急に今の全てを変える必要はありません。なぜ、今の価格・納期・品質で顧客に価値を提供できるのか?その真意や目的を考え、暗黙知があれば形式知化する、必要に応じてルール化するなど、自分たちの目の前の業務を見直すだけでもSXへの一歩は始まっています。
取引先として“選ばれる条件”が変わる
個社毎のSXへの意識が高まってきている現在、その範囲が企業単体からサプライチェーン・バリューチェーンに本格的に広がりを見せ始めています。社会的責任も大きく、影響範囲も広い大企業が自社だけではなく、持続可能なサプライチェーンを構築するために、取引先にも「持続可能であること」を求め始めています。
大企業からのアンケートに回答したり、説明会に出席したりする企業も増え始めているかと思います。大企業は自ら取引先にコミュニケーションを取り、自分たちが社会に対して実現したいこと、その実現のために取引先にいつまでに何をして欲しいかを提示します。「現在の価格・納期・品質をきちんと続けてくれる企業なのか?自社の変革に共感し、一緒に歩んでくれる企業なのか?」を大企業は見ています。
取引先からの要請を受けて、とある中堅企業ではCO2排出量の見える化にチャレンジしました。見える化が削減のモチベーションの1つとなり、エネルギー効率化のために作業時間・作業場所など業務の一極集中をした結果、コスト削減・粗利増を実現しました。
あるIT企業では従業員の男女比はどのくらいなのか(従業員男女比)?育休をどのくらいの人が取っているのか(育休取得率)?入社後に自分の成長機会がどのくらいあるのか(研修制度・設備の説明)?など、人的資本の開示が企業を正しく知ってもらうきっかけとなり、採用力が向上、優秀な人材の確保につながっています。
このように見ていくと、自社を定量・定性的に正しく可視化し、現状を把握することがSXの第一歩になっているケースが大変多いことがお分かりいただけるかと思います。
情報開示や外部評価が目的化していませんか?
可視化と現状把握が重要である一方で、多くの法対応や監査、第三者評価対応に伴い、多くの企業が情報開示を求められています。これらの多くが開示項目や範囲が異なっており、企業は莫大な期間と工数を要しているのが実態です。そのため、現場では「情報開示や評価が目的化」してしまうケースが存在しています。
確かに、法を守ること、外部から評価を受けることは大変重要です。しかし、SXの本質は「企業が持続可能になること」。ルールや仕組みは、誰かに見せるためではなく、自社の信頼を支えるためにあることを忘れてはいけません。
SXは“今やっていること”の延長線
一貫してお話している通り、SXは特別なプロジェクトや組織だけで対応するものではありません。むしろ、日々の業務の中で信頼を積み重ねている企業こそ、SXの本質にすでに触れています。
「企業活動で重要なこの仕組みやルールは、人が変わった時、関係する取引先の状況が変わった時、社会や地球の状況が変わった時に、同じように続けることができるだろうか?」
そんな問いが、SXの第一歩です。そしてその答えが、未来の取引先・顧客・従業員から“選ばれ続ける企業”であるための現実的な解なのもかもしれません。
サステナビリティ
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